読書

ミシェル・ビュトール『心変わり』

心変わり (岩波文庫)作者: ミシェル・ビュトール,清水徹出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2005/11/16メディア: 文庫購入: 3人 クリック: 35回この商品を含むブログ (39件) を見る ヌーヴォー・ロマンの作家の作品を読んだのは初めて。二人称で語られる小説…

J.G.バラード『時の声』

時の声 (創元SF文庫)作者: J・G・バラード,吉田誠一出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 1969/05/02メディア: 文庫購入: 3人 クリック: 25回この商品を含むブログ (27件) を見る バラードの宇宙においては、真理が開示されること、あるいは真理を入手すると…

H.C.アンデルセン原作/赤木かん子/高野文子『火打ち箱』

火打ち箱 (こんなアンデルセン知ってた?)作者: 赤木かん子出版社/メーカー: フェリシモ発売日: 2006/09メディア: 単行本購入: 9人 クリック: 31回この商品を含むブログ (50件) を見る 高野文子のペーパークラフトを見ることが出来るというので前からちょっと…

J.G.バラード『コンクリート・アイランド』

コンクリート・アイランド作者: J.G.バラード,大和田始,國領昭彦出版社/メーカー: 太田出版発売日: 2003/08/26メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 10回この商品を含むブログ (19件) を見る 七0年代中期を通じてバラードによって書き継がれた『クラッシュ…

京極夏彦『邪魅の雫』

邪魅の雫 (講談社ノベルス)作者: 京極夏彦出版社/メーカー: 講談社発売日: 2006/09/27メディア: 新書購入: 3人 クリック: 51回この商品を含むブログ (619件) を見る デュパンからホームズ、ポアロ、或いは明智から合田、或いは京極堂(!)にいたる刑事、探偵…

ルクレティウス『物の本質について』

ルクレティウスは『物の本質について』の第二巻で、人々の抱く(観念によって先取りされた)死に対する恐怖を批判している。要約すれば、それは、精神にとって死すべきことが本質である以上それを恐れるいわれなどはどこにもない、ということになるのだろう。…

J.G.バラード『クラッシュ』(ペヨトル工房)

'73年に発表されたこの小説がそれ以前のバラードの作品に対して切断しているものがあるとすれば、それはたぶん、隠喩というものへの作家の態度変更というところにあるかもしれない。以前読んだ『沈んだ世界』にしろ『結晶世界』にしろ、つまるところ有体に言…

ポール・ヴァレリ−『ムッシュー・テスト』(岩波文庫)

ムッシュー・テストは中間領域に現われる。それはなによりもまず知識人階層と無名の大衆たちとのあいだの社会集団的な地帯であり、劇場の舞台と観客席とのあいだであり、また覚醒と眠りとの狭間であり、あるいは首都(パリ)へと移行する夜間列車の客席の中…

J.G.バラード『沈んだ世界』(創元SF文庫)

沈んだ世界 (創元SF文庫)作者: J.G.バラード,峰岸久出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 1968/02/12メディア: 文庫購入: 6人 クリック: 59回この商品を含むブログ (19件) を見る バラードはこの小説で珍しく、登場人物たちをあからさまに弁証法的(ないし二…

J.G.バラード『終着の浜辺』創元SF文庫

終着の浜辺 (創元SF文庫)作者: J・G バラード,J.G. Ballard,伊藤哲出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 2005/10メディア: 文庫購入: 2人 クリック: 20回この商品を含むブログ (34件) を見る 『溺れた巨人』とはかなり感触が違っていてちょっと驚いた。リーダ…

J・G・バラード『結晶世界』(創元SF文庫)

一冊読み終えるのに一週間くらいかかってしまった。もはや遅読病だ。別に速読の必要なんて感じないけど、せめて文庫本なら二、三日で読み終えたい。と、思ってみた。 バラードの小説風土を襲う「破滅」の様々なタイプは多岐に渡るけど、この作品では、タイト…

J・G・バラード『溺れた巨人』(創元SF文庫)

バラードの小説を読むのはこれで2作目(ちょっと前に『夢幻会社』を読んだ)。この短篇集に収められている9つのどの作品も、規模の大小、事態の進捗程度の差はあっても、多かれ少なかれ、もはや破滅してしまった世界といったものが舞台になっている。身も蓋…

ポール・ヴァレリー『レオナルド・ダ・ヴィンチの方法』(岩波文庫)

……ヴァレリーは初めてだったんだけど、なんだか凄く難しい本を読んでしまった。明らかに選択ミスだったと、読み終えた今、猛烈に感じ入っている(ただし、まったく面白くなかったかと省みてみれば、そんなわけでもなくて、かといって「面白い!」と感嘆符つ…