小説

川上未映子『わたくし率イン歯ー、または世界』/『乳と卵』

わたくし率 イン 歯ー、または世界作者: 川上未映子出版社/メーカー: 講談社発売日: 2007/07/26メディア: 単行本購入: 6人 クリック: 158回この商品を含むブログ (174件) を見る乳と卵作者: 川上未映子出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2008/02/22メディア:…

スタンダール『赤と黒』

赤と黒 (上) (光文社古典新訳文庫 Aス 1-1)作者: スタンダール,野崎歓出版社/メーカー: 光文社発売日: 2007/09/06メディア: 文庫購入: 3人 クリック: 26回この商品を含むブログ (65件) を見る 恥ずかしながらスタンダール初読み。新訳が出たのでいい機会って…

ベケット『マーフィー』

マーフィー作者: サミュエルベケット,Samuel Beckett,川口喬一出版社/メーカー: 白水社発売日: 2001/10メディア: 単行本 クリック: 9回この商品を含むブログ (11件) を見る 久しぶりに小説を読んだけど、めちゃくちゃ変な作品で面食らってしまった(ベケット…

ヴァージニア・ウルフ『波』

波 (ヴァージニア・ウルフコレクション)作者: ヴァージニアウルフ,Virginia Woolf,川本静子出版社/メーカー: みすず書房発売日: 1999/10メディア: 単行本 クリック: 11回この商品を含むブログ (4件) を見る ここでは6人の男女の吐露するモノローグの連鎖と交…

マルグリット・デュラス『ヴィオルヌの犯罪』

ヴィオルヌの犯罪 (河出文庫)作者: マルグリットデュラス,Marguerite Duras,田中倫郎出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 1996/01メディア: 文庫 クリック: 2回この商品を含むブログ (3件) を見る (……)そこでわたしは、台所の窓を開けて、誰かが聞きつけて…

ロブ=グリエ『反復』

反復作者: アランロブ=グリエ,Alain Robbe‐Grillet,平岡篤頼出版社/メーカー: 白水社発売日: 2004/03メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 19回この商品を含むブログ (26件) を見る 投げっぱなしで駆け足の感想(というか、いつもながらの放言)。 この小説の…

クロード・シモン『三枚つづきの絵』

三枚つづきの絵作者: クロード・シモン,平岡篤頼出版社/メーカー: 白水社発売日: 2003/10メディア: 単行本 クリック: 1回この商品を含むブログ (10件) を見る テクストの構成の全般的な解題にかんしては、いくつかの見逃すことのできない細かなディテールま…

デフォー『ロビンソン漂流記』

ロビンソン漂流記 (1951年) (新潮文庫〈第190〉)作者: デフォオ,吉田健一出版社/メーカー: 新潮社発売日: 1951メディア: 文庫この商品を含むブログ (1件) を見る 『オデュッセイア』から漂流つながりで『ロビンソン漂流記』を読んでみた。 トロイア戦争の英…

クロード・シモン『ファルサロスの戦い』

ファルサロスの戦い作者: クロードシモン,Claude Simon,菅野昭正出版社/メーカー: 白水社発売日: 2001/10メディア: 単行本この商品を含むブログ (3件) を見る 三つの章からなるこの小説の第一章の部分は「I 大股で走る不動のアキレス」という標題がつけられ…

マルグリット・デュラス『愛』

愛 (河出文庫)作者: マルグリットデュラス,Marguerite Duras,田中倫郎出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 1996/04メディア: 文庫 クリック: 4回この商品を含むブログ (7件) を見る この作品の舞台となっている場所(S.タラ)やそこに生きる人物たちは『ロル…

ヴァージニア・ウルフ『灯台へ』

灯台へ (岩波文庫)作者: ヴァージニアウルフ,Virginia Woolf,御輿哲也出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2004/12/16メディア: 文庫購入: 5人 クリック: 79回この商品を含むブログ (71件) を見る この小説はごく単純に家族小説のようなものとして受けとめてよ…

クロード・シモン『歴史』

歴史作者: クロード・シモン,岩崎力出版社/メーカー: 白水社発売日: 2003/10メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 4回この商品を含むブログ (8件) を見る のっけから長めの引用―― (…)まるでベッドとシーツと彼らの肉体が一様に同じひとつの生気のない物質で…

マルグリット・デュラス『ロル・V・シュタインの歓喜』

ロル・V・シュタインの歓喜作者: マルグリットデュラス,Marguerite Duras,平岡篤頼出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 1997/02メディア: 単行本 クリック: 6回この商品を含むブログ (11件) を見る この小説は難しかった。おおむね解説の平岡篤頼の意見に…

ヴァージニア・ウルフ『ダロウェイ夫人』

ダロウェイ夫人 (角川文庫)作者: ヴァージニアウルフ,Virginia Woolf,富田彬出版社/メーカー: 角川書店発売日: 2003/04メディア: 文庫 クリック: 8回この商品を含むブログ (28件) を見る 『ボヴァリー夫人』から夫人繋がりで手に取ってみた(まあ、ぜんぜん関…

フローベール『ボヴァリー夫人』

ボヴァリー夫人 (新潮文庫)作者: フローベール,生島遼一出版社/メーカー: 新潮社発売日: 1997/05メディア: 文庫購入: 5人 クリック: 40回この商品を含むブログ (57件) を見る 大きな声じゃ言えないけどフローベールを初めて読んだ。本じたいはずいぶん前に買…

ナタリー・サロート『生と死の間』

生と死の間作者: ナタリー・サロート,平岡篤頼出版社/メーカー: 白水社発売日: 2003/10メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 3回この商品を含むブログ (13件) を見る この小説は正直よくわからなかった。ヌーヴォーロマンのめぼしい作家の作品をそれぞれ一、…

クロード・シモン『フランドルへの道』

フランドルへの道作者: クロード・シモン,平岡篤頼出版社/メーカー: 白水社発売日: 2004/09/23メディア: 単行本 クリック: 12回この商品を含むブログ (14件) を見る この小説はいろんな意味でビビった。ちょっと今まで読んだことのない凄味がある。パッと目…

ミシェル・ビュトール『時間割』

時間割 (河出文庫)作者: ミシェル・ビュトール,清水徹出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 2006/12/05メディア: 文庫 クリック: 21回この商品を含むブログ (32件) を見る 気になった一点だけ(作品の内容とはあんまり関係のないこと)。 大雑把に見れば、こ…

マルグリット・デュラス『モデラート・カンタービレ』

モデラート・カンタービレ (河出文庫)作者: マルグリット・デュラス,田中倫郎出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 1985/05/01メディア: 文庫購入: 1人 クリック: 43回この商品を含むブログ (23件) を見る 「モデラート・カンタービレ」という音楽用語が、…

J.G.バラード『楽園への疾走』

楽園への疾走 (海外文学セレクション)作者: J・G・バラード,増田まもる出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 2006/04/22メディア: 単行本 クリック: 10回この商品を含むブログ (18件) を見る 以下、漫然とした所感を箇条書き。 絶滅の危ぶまれるアホウドリた…

ロブ=グリエ『迷路のなかで』

迷路のなかで (講談社文芸文庫)作者: アラン・ロブ=グリエ,平岡篤頼出版社/メーカー: 講談社発売日: 1998/02/10メディア: 文庫購入: 6人 クリック: 20回この商品を含むブログ (27件) を見る 物語の内容水準に限った感想を書き留めておく(翻訳の平岡篤頼さん…

ロブ=グリエ『覗くひと』

覗くひと (講談社文芸文庫)作者: アラン・ロブ=グリエ,望月芳郎出版社/メーカー: 講談社発売日: 1999/03/10メディア: 文庫購入: 2人 クリック: 7回この商品を含むブログ (14件) を見る この小説の中で頻繁に現れる象形文字のような「8の字」*1のイメージを、…

ミシェル・ビュトール『心変わり』

心変わり (岩波文庫)作者: ミシェル・ビュトール,清水徹出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2005/11/16メディア: 文庫購入: 3人 クリック: 35回この商品を含むブログ (39件) を見る ヌーヴォー・ロマンの作家の作品を読んだのは初めて。二人称で語られる小説…

J.G.バラード『コンクリート・アイランド』

コンクリート・アイランド作者: J.G.バラード,大和田始,國領昭彦出版社/メーカー: 太田出版発売日: 2003/08/26メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 10回この商品を含むブログ (19件) を見る 七0年代中期を通じてバラードによって書き継がれた『クラッシュ…

京極夏彦『邪魅の雫』

邪魅の雫 (講談社ノベルス)作者: 京極夏彦出版社/メーカー: 講談社発売日: 2006/09/27メディア: 新書購入: 3人 クリック: 51回この商品を含むブログ (619件) を見る デュパンからホームズ、ポアロ、或いは明智から合田、或いは京極堂(!)にいたる刑事、探偵…

J.G.バラード『クラッシュ』(ペヨトル工房)

'73年に発表されたこの小説がそれ以前のバラードの作品に対して切断しているものがあるとすれば、それはたぶん、隠喩というものへの作家の態度変更というところにあるかもしれない。以前読んだ『沈んだ世界』にしろ『結晶世界』にしろ、つまるところ有体に言…