2006-01-01から1年間の記事一覧
杉浦茂傑作選集 怪星ガイガー・八百八狸作者: 杉浦茂出版社/メーカー: 青林工藝舎発売日: 2006/11/22メディア: 単行本 クリック: 30回この商品を含むブログ (28件) を見る 杉浦茂のマンガを初めてじっくりと読んだ。購入も初めて。五五年に「漫画王」、「少…
コンクリート・アイランド作者: J.G.バラード,大和田始,國領昭彦出版社/メーカー: 太田出版発売日: 2003/08/26メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 10回この商品を含むブログ (19件) を見る 七0年代中期を通じてバラードによって書き継がれた『クラッシュ…
さんさん録 (1) (ACTION COMICS)作者: こうの史代出版社/メーカー: 双葉社発売日: 2006/03/11メディア: コミック購入: 10人 クリック: 50回この商品を含むブログ (173件) を見る こうの史代の『さんさん録』という漫画は、一種の幽霊譚として読むことが出来…
邪魅の雫 (講談社ノベルス)作者: 京極夏彦出版社/メーカー: 講談社発売日: 2006/09/27メディア: 新書購入: 3人 クリック: 51回この商品を含むブログ (619件) を見る デュパンからホームズ、ポアロ、或いは明智から合田、或いは京極堂(!)にいたる刑事、探偵…
ルクレティウスは『物の本質について』の第二巻で、人々の抱く(観念によって先取りされた)死に対する恐怖を批判している。要約すれば、それは、精神にとって死すべきことが本質である以上それを恐れるいわれなどはどこにもない、ということになるのだろう。…
(昨日のエントリーの続き、というか、別の視点からの補足)。 『ベルセルク』というアクション漫画が、昨日書いたような事柄すべてを覆して、それでもなおアクション漫画足りえている(読み手の意識に対して見逃しがたい動感をもたらしている)点があるとする…
ベルセルク (31) (Jets comics (267))作者: 三浦建太郎出版社/メーカー: 白泉社発売日: 2006/09/29メディア: コミック クリック: 16回この商品を含むブログ (122件) を見る(以下は、『ベルセルク』の物語の内容とはほとんど関係のないはなしです)。 ひと月…
洗面所の化粧台の上の天井にクモが巣を張ってもう1週間くらいになる。ひょっとしたら十日くらいにもなるかもしれない。全身が赤っぽい茶色で、ちょうど手の親指ほどの大きさの、脚の長いそのクモは、天井と二面の壁が合わさる角の奥まった隅っこにいつの間に…
長い道 (Action comics)作者: こうの史代出版社/メーカー: 双葉社発売日: 2005/07/28メディア: コミック購入: 4人 クリック: 81回この商品を含むブログ (228件) を見る 雑誌連載だったらしいこうの史代の『長い道』という作品は1話につき3、4ページから成る…
'73年に発表されたこの小説がそれ以前のバラードの作品に対して切断しているものがあるとすれば、それはたぶん、隠喩というものへの作家の態度変更というところにあるかもしれない。以前読んだ『沈んだ世界』にしろ『結晶世界』にしろ、つまるところ有体に言…
High Tech Soul The Creation Of Techno Music [DVD]出版社/メーカー: ビクターエンタテインメント発売日: 2006/08/25メディア: DVD購入: 2人 クリック: 4回この商品を含むブログ (18件) を見る「24アワー・パーティー・ピープル」とよく似ているように思っ…
棒がいっぽん (Mag comics)作者: 高野文子出版社/メーカー: マガジンハウス発売日: 1995/07/01メディア: 単行本購入: 18人 クリック: 147回この商品を含むブログ (160件) を見る 「かわいいコックさん」の絵描き唄は、高野文子の「奥村さんのお茄子」という…
たとえば、こうの史代の「夕凪の街」という作品の最後の数ページは、病床に臥せった主人公(皆実)の視点から見られた光景やお見舞いに訪れる人たちの顔が徐々に(しかし、急速に)彼女の視界から奪われていき、遂にもはや何も見ることの出来なくなってしま…
この作品集のいちばん最後に収録されている「玄関」という短篇は、それを目にして、ああ高野文子のマンガだなあ、という感慨を抱くより仕方がないような仕上がりを示してみせてくれる。 作品の流れの中では最後に据えられている母と娘(「えみこ」)二人の後…
ムッシュー・テストは中間領域に現われる。それはなによりもまず知識人階層と無名の大衆たちとのあいだの社会集団的な地帯であり、劇場の舞台と観客席とのあいだであり、また覚醒と眠りとの狭間であり、あるいは首都(パリ)へと移行する夜間列車の客席の中…
沈んだ世界 (創元SF文庫)作者: J.G.バラード,峰岸久出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 1968/02/12メディア: 文庫購入: 6人 クリック: 59回この商品を含むブログ (19件) を見る バラードはこの小説で珍しく、登場人物たちをあからさまに弁証法的(ないし二…
終着の浜辺 (創元SF文庫)作者: J・G バラード,J.G. Ballard,伊藤哲出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 2005/10メディア: 文庫購入: 2人 クリック: 20回この商品を含むブログ (34件) を見る 『溺れた巨人』とはかなり感触が違っていてちょっと驚いた。リーダ…
■この前聴いたCDが面白かったんで続けて2 many dj'sのブツを購入してみた。ビリージーンのオープニングのベースにビーチ・ボーイズのアカペラがかぶさったり、T99のアナスタシアのフレーズのくだりだったり、随所に挟まるずっこけそうなブリッジが脱力的な笑…
一冊読み終えるのに一週間くらいかかってしまった。もはや遅読病だ。別に速読の必要なんて感じないけど、せめて文庫本なら二、三日で読み終えたい。と、思ってみた。 バラードの小説風土を襲う「破滅」の様々なタイプは多岐に渡るけど、この作品では、タイト…
2 many djsのCDは初めて聴いた。マッシュアップ(?)っていうのも初めて。もう、なんか、ひたすらカッコイイ。のべつまくなくカッコイイ。これ大丈夫なのか?ってくらいカッコイイ。たぶん、焼けクソ気味にカッコイイ。とくに前半10曲目くらいまでの暴れっ…
バラードの小説を読むのはこれで2作目(ちょっと前に『夢幻会社』を読んだ)。この短篇集に収められている9つのどの作品も、規模の大小、事態の進捗程度の差はあっても、多かれ少なかれ、もはや破滅してしまった世界といったものが舞台になっている。身も蓋…
……ヴァレリーは初めてだったんだけど、なんだか凄く難しい本を読んでしまった。明らかに選択ミスだったと、読み終えた今、猛烈に感じ入っている(ただし、まったく面白くなかったかと省みてみれば、そんなわけでもなくて、かといって「面白い!」と感嘆符つ…
高野文子の『ラッキー嬢ちゃんのあたらしい仕事』というとてもウェルメイドな作品は、しかし「ウェルメイド」という言葉が通常まといがちな安易さであったり退屈さの印象なんかとは程遠いマンガ的感触を読む者に与える。 物語の内容としては一人の女の子のシ…
……せっかくだしノイ!(NEU!)について何か書いておきたいな、と思いながらファーストに収録されているオープニングの名高い名曲「ハロガロ」を聴きながらしばらくあれこれ考えを巡らせていたのだけれど、結局はかばかしい事柄は何も思い浮かばず、諦めてふと…
クラスターII(幻星)(紙ジャケット仕様)アーティスト: クラスター出版社/メーカー: ユニバーサル インターナショナル発売日: 2005/05/18メディア: CD クリック: 8回この商品を含むブログ (5件) を見る クラスターの『クラスターII』という作品から受ける音響…
▽今更なはなしなのだけれど、ここ最近、70年代(東西)ドイツの音楽(いわゆる「ジャーマン・ロック」とか「ジャーマン・エレクトロ」とかと括られている作品群)を聴きはじめている。今のところ、ノイ!のアルバム三作とクラスターのを一枚聴いただけだけど、い…
池袋ジュンク堂でぶらぶらしていたら花輪和一の『刑務所の中』の文庫版(講談社漫画文庫)を見つけた。前に手元にあった単行本のほうは既に失くしてしまっており、帯のコピーを確認してみたら新たに何本か書き下ろしも収録されているみたいなんで、良い機会…